■ メリーポピンズ資料編 気象の知識

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植物と気象の関係について

寄稿:メリーポピンズの会 山田 敬

◆ 植物と気象・気候
 植物は、根から水分、養分を吸収し、葉を中心として光合成を行い、自らを成長させていきます。一方で、植物の組織、生命を維持するために呼吸も行っています。植物が成長し、生命を維持するためには、動物と違い積極的に行動することのできない植物にとって、外界の環境要因が大きく影響します。特に、雨、日照、風、気温などの「気象」や、その土地の特有の「気候」といった環境は、そこに生育する植物に多くの影響を与えています。
 私達の暮らしている日本列島は、春夏秋冬という季節の移ろいと、世界でも珍しいくらいの幅広い気候の違いを見ることができます。日本は南北に長く存在しているために、南の亜熱帯から北の冷帯までの気候があり、低地と高山では、また違う気候となっています。
 植物は、本来原生種として生まれ育った気候で適正に成長していくように進化してきました。しかし、私たちは園芸用に原生種を長い期間かけて品種改良をして、世界中の様々な気候のもとで成長してきた植物を園芸種として作り出し、庭や花壇、植物園等でその花や成長の様を楽しんでいます。

 最近では、地球温暖化が進んでいるという話もよく聞かれるようになりました。その結果、植物にとっては成長や生命の維持が難しくなってくるような環境も生じてきています。
 植物が種子から発芽し、健康に成長し、花を咲かせ実を結び、次の世代へと命を紡いでいくためには、その植物に適した気象条件で育てていくことが重要になります。そのためには、私たちが植物を育てる庭の「気象」や「気候」の特徴を知り、それらの環境に適合した植物を育てていく必要があります。もちろん、園芸植物は品種改良が進み、温帯であれば、かなり広い範囲で育つことが可能です。

 気象や気候の特徴を掴むために、自分の住む地域の気象や気候の特性を知っていることで、失敗なく植物を育てることも可能になります。そのためには、その土地の気候区分や過去の気象データを各種資料から知り、これらを園芸に活かしていくことが必要です。

◆ 気象データ
 日本全国各地の気象データは、気象庁のホームページで気象統計情報を閲覧することで知ることができます。
URL: http://www.jma.go.jp/jma/menu/report.html
ここでは、現在の気象データとともに、過去の気温、雨量、風速等のデータを参照することが可能です。自分の住んでいる地域の気象台のデータを参照して特徴を掴むことができます。

◆ 気候区分
 気候区分は、気象観測で得られたデータや、その土地の自然・風土などの基準に当てはまる地域を一つの気候区として区分したものです。

有名なものとしては、ドイツの気象学者ケッペンが世界の植生分布に着目して考案されたケッペンの気候区分があげられます。
 ケッペンの気候区分を利用して、植物の原産地の気候の特徴を掴むことで、特定の植物の生育環境をある程度類推することが可能です。
また、インターネット上でWikipedia等を検索することでも、気候や気候区分に関して調べることができます。

 日本国内に関しては、小中学校の社会科の教科書にも掲載されている、以下の6つの区分があります。

北海道気候(北海道の気候)(冷帯気候)
○ 太平洋岸式気候(太平洋側の気候)
○ 日本海岸式気候(日本海側の気候)
○ 内陸性気候(中央高地の気候)
○ 瀬戸内式気候(瀬戸内の気候)
○ 南西諸島気候(南西諸島の気候)(亜熱帯気候)

なお、宝塚は、瀬戸内式気候です。

◆ ハーディネスゾーン(Plant Hardiness Zone)
 アメリカ合衆国農務省が植物の耐寒性に着目して、年最低気温の平均値に基づいて国や地域を華氏10度ごとに1から11までの11段階に分けたものです。(華氏―50度から華氏40度までの11段階区分)。各段階の数字はゾーンナンバーと称し、数字が小さいほど気温が低いことを示します。最近ではさらにゾーンナンバー2から10を5度ずつに細分することもあります。

 植物ごとに表示されるハーディネスゾーンナンバーは、その植物の露地植栽可能域を示します。特別な防寒設備を施さなくても冬を越すことができるということです。東京や大阪は、ハーディネスゾーンナンバー8で、摂氏-12.3度から-6.6度になります。
 このゾーンナンバーを掲載している図鑑としては、「The New RHS Dictionary of Gardening」、日本国内では、「日本花名鑑」アボック社刊があげられます。
「日本花名鑑①」の裏表紙には植物耐寒ゾーン地図として日本全国を15ゾーンに色分けした地図が掲載されています。

◆ 微気候
 微気候とは、気候区分の大気候とは異なる建物や地形によって作られる、狭い範囲での気候を指します。東京や大阪といった同じ地域であっても、建物や地形の影響で日照の違い、気温、風向・風力、湿度等の気象条件が変わってきます。家庭の庭でしたら、日当たりや風通しといった特徴が生じてきます。これらも植物の生育には大きな影響を与えますので、十分に考慮する必要があります。